帰化申請の同時申請をするかどうかは考えもの

  帰化申請では「帰化の同時申請」という制度があります。

 帰化申請は本来、全て世帯毎に一件一件審査を進めていくものです。
 しかし、帰化の同時申請というのは、まず親族関係があり、幾つかの条件を満たす場合には、同居する同一世帯で無いにも関わらず、ひとつのグループの申請として(ひとつの申請として、ではありません)受け付けてくれる制度です。

 同時申請をすることで申請者間で重複する書類については1通で済むというメリットがあります。特に身分関係に関する日本国内外の書類やその翻訳について省力化できることは帰化申請者にとって非常に助かることでしょう。

 デメリットというのはありませんが、同時申請を検討する際の注意点は書き切れないほど多く、内容によっては申請ができるはずだった世帯も受付拒否されたり、不許可、取り下げという事態に発展することもあり、専門家に頼んでいない場合にはあまり簡単に同時申請を選択しない方が良いかもしれません。

 注意点以前の話として、まず複数の世帯が同時に足並みを揃えて、帰化申請をすることがどれだけ大変な事か理解しなければなりません。

 ひとつの世帯全員が申請するだけでも家族のうちのどなたかが足を引っ張って非常に時間が掛かったり帰化申請ができなくなってしまったりすることが日常茶飯時にあるのに、それを世帯を越えて乗り越えていく苦労は筆舌しがたいものがあります。

 帰化申請を決意するきっかけは大抵家族の中の誰かに「急いで帰化申請を進めていかないといけない事情」が発生していることも多く、どうせするならこの機会に一緒にしようという流れとなったことでしょう。

 しかし、最初のきっかけとなった人に「確実に」「早く」帰化申請する必要があるのであれば、あまり申請する範囲を広げない方が無難です。

 申請支援センターにご依頼された際は、帰化申請される目的の重さや家族全員の置かれている状況をよくお聞きし、メリットとデメリットを秤に掛けて、臨機応変に同時申請をすべきかどうかを決めていきます。