お人好しをやめんといかんのかなあ、という話です。
申請支援センターはビジネスで帰化申請のお手伝いをしている行政書士の事務所です。だからこそ、帰化申請の依頼を本気で考えている人にとっては、ボランティアの「ふり」をしている人に比べたらはるかに心強い。
依頼者の代わりに法務局に「どうでしょうか?」「どうしたらいいでしょうか?」と聞きに行きながら帰化申請業務をしている行政書士はハッキリいって非常に多い。
電話でいい加減に話を聞いて受任する事務所は大体そんなもんです。
申請支援センターでは、中途半端な電話での相談は一切行ってない代わりに、相談会に参加された方については、初対面のその場で問題点を明確にし「何をしてから帰化申請をすべきか」ハッキリと答えが出ます。
「どうでしょうか?」「どうしたらいいでしょうか?」というママゴトのような仕事はしていません。
その代わり真剣に依頼を考えている方以外は、一切お断りしています。
ただ、ママゴトと非難しましたが、駆け出しの行政書士の間は「どうでしょうか?」「どうしたらいいでしょうか?」と頭を下げて法務局に聞きに行くしかないのだからおおいに聞きにいけばいい。
僕も昔は素直に頭を下げて回った。未だにわからないことが出てきたら素直に頭を下げます。自分の不甲斐なさに法務局にも、お客さんにも。
誰もが通る道程です。
ママゴトを何百件も続けて初めて、一人前の扉の前に立てるのです。
しかし、聞く相手はあくまでも官庁です。
帰化申請なら法務局です。
そして、聞きに行く前に周辺法令などはちゃんと勉強して自分の見解も持っておかないといけません。
仕事をひとつ落としたくないので、直接官庁に聞き辛い気持ちはよくわかります。
でも、ひとつ仕事を落として得られる経験は帰化申請1件20万円よりよほど大きな価値があります。失敗は成功のもととはうまく言ったものです。
間違っても、先輩行政書士に聞いちゃダメです。
何も得れません。お客さんも得しません。
何のために先輩に聞くか?
それは行政書士「自身」の心配を解消させて、気楽になりたいだけのことです。
僕は開業したての頃「入管に行政書士が代わりに相談に行っても取り合ってくれるのですか?」とかわけのわからん質問を2,3分先輩に聞いてさらにちゃんとした答えが帰って来なくても、1時間分の相談料として5,000円押し付けて嫌われた(笑)ようなことが何度もあります。
それは他人である僕の「仕事」の話を嫌な顔もせず時間を割いて聞いてくださったことと、仮にちゃんとした答えが帰って来なくても、「そういう質問をしたらちゃんとした答えが返ってけえへんこともある」ということも情報であり、どちらも価値がある事だからです。
とにかく僕は基本的に先輩には相談しないのですが、どうしても死ぬほど聞きたいことがあった場合には、先に「相談料いくらですか?」というところから話して嫌われることにしています。
ところが、僕自身はどこに行っても年がら年中『自称帰化申請の専門家』を吹聴して回っているためか、法務局でも領事館でも色んなところで、行政書士の誰かと会うたびにこれ幸いと「ちょっと帰化申請の事で聞いていいですか?」と尋ねられることがしょっちゅうです。
この前などは、領事館から帰る途中の私をどどどーっと追いかけてきて道端で相談を始める女の行政書士さんも居ました。
非常に気が弱い性格なのでつい、「どうぞどうぞ」と言ってしまい、話し出すと乗ってしまう性格が災いして、演説気味に叱咤激励までしてしまいます。
そして、相手は安心して自分の仕事に戻って、次に会った時には大抵もうその話も忘れているようです。
また、昨年あたりに行政書士になられたばかりの方なのですが、もう、会うたび会うたびに、自分の仕事の相談をしてくる人がいます。いちど親身に聞いて差し上げたら、帰化申請研修会の後であったり、なんかの会合の飲み会であったり、法務局の待合であったり、見かけるたびに寄って来て一方的に相談しだす。
先日などは領事館で「ちょっと引っ掛かって来た客がおりましてねぇ」などと、下品な話し方をするのでさすがに法務局で聞いたらいかがですか、と言うたった。
その人も含めて、世間話の体(てい)で仕事の話を尋ねて来られることが何よりも許せないのです。
お客さんは、人生の大事な節目として、悩みに悩んで、誰か良い行政書士が居ないか探して、意を決して相談をしてきているわけです。それをたまたま僕を見つけて、世間話で情報を得ようとするような行為は、さすがにあかんのと違いますか?
自分がわからんなんだら、少なくともお客さんと同じ必死さで、行政書士にでも、法務局にでも、きちんと参考資料も用意して聞きに行け!と思います。
僕はお金にうるさいですが、温和な性格の時もあります。
真剣さがあったら、別に相談料を払わなくても、怒ることもなかったかも知れません。
この世間話野郎が!