今日、帰化申請の書類点検で法務局に寄った際に、多分帰化申請受付で一緒に来庁されたのであろう行政書士(らしき人)と申請者の姿がありました。
ちょうど相談票を記入していましたら、帰化申請の相談室から若い行政書士(らしき人)が出て来られて、依頼者の方に向かって次のようなことを神妙な面持ちで話し始められました。
要旨としては、「出生届に記載されている内容が、本人が申告している親族の概要と違うので、本国除籍を遡って確認しないと、帰化申請は受け付けられない」と法務局から今、言われた、というものです。
依頼者らしき方は、死んだ兄弟が居るとか、母の前婚があってとか、その場で話し出されていました。
帰化申請において、このような光景は、法務局でよく目にします。
自分で申請されている方の場合に、帰化申請ができないと言われ、大声で泣きながら相談室から飛び出していかれる場合などは、帰化申請の専門家に頼まなかったので、ある意味仕方ない、と思えるのですが、冒頭のような行政書士や司法書士などが着いていて、受付予定のその日に、とくに「戸籍など身分関係上の理由で」帰化申請が受け付けられないことが判明するなんてことは、昔はほとんどありえなかったことでした。
帰化申請の必要書類を取得しても内容がまったく確認できていないわけです。
依頼者と法務局に来る前にチェックしていなくてどうする!
と自分の相談票を記入しながら、お説教を始めてしまいそうになりました。
もし、本当に行政書士なら「目ェ噛んで死ね」レベルです。
僕は大阪人なので言葉はワルいけれど、勉強せずに仕事を受けちゃだめです。
例えば、出生届であれば医師がどのような内容を証明しているのか、もし、事実と違えばなぜそのような表記となってしまったのかという理由を「法務局に来る前に」というより「書類取得と同時に区役所で」確認できていなければなりません。
行政書士の仕事としては、死んだ兄弟とか、前婚といった話が、なぜ、当日まで出てこなかったのか、どう考えても不思議でならないことなのです。
聴取なしに、帰化申請の依頼を受けているのでしょうか?
最近は、インターネットで、行政書士を開業して間もない3,4年目くらいの方も、帰化申請の専門家のふりをして営業をされている場合が増えて来ましたので、このような状況となってきたのではないかと存じます。
そのような事務所さんは、競争力が値段しかありませんから、びっくりするくらい帰化申請の報酬額が安いことがよくあります。
いくら安くても、ちゃんとした帰化申請ができなければ、意味ありません。
昔からやって来ている経験のある事務所は、長い経験の中で様々な報酬の改訂なども経た上で適正価格をつけています。現在は、実際のところ、特別永住者、給料所得世帯で15~20万程度が帰化申請の報酬の相場というところでしょう。
新しい若い行政書士さんのサイトで無理してそれ以下にされているところは、大抵数年でサイトが消えて行っていますね。
無理して料金を下げているというよりはむしろ、必要な経費や仕事がわかっていないというのが現実のところです。行なうべき仕事の内容を知らず、素人の申請者の方と同じように「集める」「清書する」だけの仕事で長く続くはずがありません。
今日、法務局に内容確認の不備を指摘され、受付できなかった事務所の方も、依頼者から解任されるのかどうかはわかりませんが、そのような仕事の繰り返しなら、いつか廃業しなければならないことでしょう。
でも、帰化申請で、もっと恐ろしいのは、身分関係等に間違いがあったままでも、帰化申請がとおってしまうことがあることです。
間違った日本の戸籍ができてしまうわけで、これは、その方や子供の人生にとって物凄い影響を与える結果となります。
今日、「申請が受け付けられない」と指摘してもらえた申請者の方も、その行政書士らしき方も、ある意味、幸運だったのかもしれません。
参考リンク:帰化申請の必要書類
提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」