先日、百人近い大阪の行政書士の方にお越しいただいて講演いたしました毎年恒例の帰化申請研修会の中でも、帰化条件上の素行条件の説明の最初に申し上げた言葉があります。
「帰化申請において、素行条件の基本中の基本は、ありのままの申請である。」
申請支援センターのホームページの、帰化申請の素行条件のページでも、先頭に書いています。
この記事を書いたのは、もうかれこれ10年以上前の事です。
まだ、独自ドメインとする前で、楽天に買収されたinfoseekにさらに買収されたcoolonlineのドメインにホームページを設置した時から考えると、本当に長い年月が流れた事と感じます。
独自ドメインでなかったことの利点は、coolonline自体のサイト年齢が評価されて、行政書士サイトを開設した瞬間に10年以上のエイジングと判断されて、開設当初から上位表示され、ものすごくラッキーだった覚えがあります。
他に帰化申請でネット営業している事務所なんて、数えるほどしかなかったですしね。
最近は、世の中に帰化申請の事を書かれるページも増えてきて、みなさん、申請支援センターのサイトに書かれている事を手本にホームページの記事を作られるものですから、どこもかしこも「ありのままに」という状況になって来ました(笑)。
しかし、私が大阪府行政書士会の帰化研修で「ありのままに」と口うるさく吠えて申し上げるのは、行政書士としては、「依頼者の本当の姿をよく理解してあげて下さい」という心構えを申し上げているだけです。
また、ホームページで「ありのままに」と書いているのは、帰化申請に対して全くの素人である外国人帰化申請者が自分で帰化申請にチャレンジするようなことがあったような場合に、素人がどんなに上手くやろうと企んだところで、審査のプロフェッショナルである法務局職員に簡単に見透かされて、よけいに素行上のマイナス点をつけられるのも可哀想なことですので、自分で申請する人は何が何だかわからないなりに「せめて嘘をつかずに、真面目に申請しなさい」と意味で書いてあるだけです。
ところが、ここ数週間の間に相談に見えられた方の中に、自分で帰化申請をしてみて取り下げとなった方や、受け付けてもらえなかった方が、続けてお越しになられ、どちらも話を聞いてみると、いらんことをおっしゃられて悪い方向に進んでいかれたようです。
「ありのまま」の申請で、前に進まなくなったわけです。
いくら「帰化申請はありのままに」と申しましても、嘘をつかない事と、不要な話を自らカミングアウトするのは違うと言う事が理解できてらっしゃらないようです。
理屈っぽい方ほど、負の連鎖に落ち込まれる事が多いです。
いわゆる語るに落ちる、というものです。
一方で色々と隠そうとされる方も、帰化申請では決定的なマイナス点となります。
どなたも隠したいポイントは同じで、隠す時の言い訳のストーリーもみんな同じような内容ですから、法務局はすぐにピンとくるわけです。
どこまで話すか、何が言う必要のない事なのか、その匙加減は専門家にしかわからないものかもしれませんね。
ありのままに話していいのは、行政書士の前だけです。
と申しますか、ありのままに話していただかないと困ります。
嘘はつく事はありませんが、少なくとも上手くやるのが、行政書士の仕事です。
ご自分が上手くやろうと粉飾したり隠し事をしたりすると、それをさらに上手くするわけですから、もう無茶苦茶になります(苦笑)。
実際には、相談会ではありのままに話さなくても見抜きますが、初めからありのままに話していただいた方が、その後の人間関係もうまく行きますね。
行政書士には守秘義務もありますので、心おきなく、ありのままにお話しいただけますよ!