日本国籍喪失者の帰化申請では本当に国籍を喪失しているかは重要な問題

 日本国籍喪失者の帰化申請と言うのは非常に少ないです。
 行政書士でも経験のある方はほとんどいらっしゃらないことでしょう。
 年中、偉そうに自称帰化申請の専門家だと豪語している私でも、10件を越えるかどうかというところです。

 そして、そのそれぞれが様々なご事情の中で国籍を喪失されています。
 日本国籍の喪失と言うと、まず思い浮かぶのは他国籍の自進取得、つまり自らの意思によって外国に帰化されたというケースを思い浮かべますが、深刻な裁判を経て日本国籍を失われたという案件から、ほんのちょっとした軽い気持ちで国籍離脱に至ったというケースまで、その理由は様々です。
 国籍法の6条が使えたり使えなかったり8条に該当したりしなかったりと簡易帰化と密接な関係にあるのとはうらはらに、その多くが「どこが簡易やねん!」と叫びたくなるようなへヴィーな案件であることが常です。

 今日の帰化申請相談会に参加され申請依頼をされて帰られた方の中にも、日本国籍の喪失者の方がいらっしゃいました。
 再来週あたりに帰化の受付を目指している現在進行形の日本国籍喪失者の申請と平行して行うことになります。国籍喪失者が重なるのは珍しいです。ついでに言うとそろそろ別の国籍喪失者の方の面接も回って来ますからもっと珍しい状況です。

 日本国籍を喪失された方の帰化申請の注意点というのは非常に多くあるのですが、まず最初の留意点は、さてなんでしょうか?

 それは、本当に国籍を喪失しているのかという事から検討する必要があることです。
 国籍を喪失していなければ、帰化申請の必要がありませんし、日本への帰化申請はできない。

 もちろん日本の戸籍が残っている、とかそんな単純な事ではありません。日本の戸籍が残ってようと残っていまいと法律上国籍喪失している場合には、国籍はありません。
 しかし、他国籍の取得の過程に微妙な事情がある場合には、国籍の存否をよく考えねばならない事もあるのです。
 また、仮に確実に国籍を喪失していても届出等に懈怠がある場合には帰化申請を行うにしてもその準備から始めないといけない場合もあります。

 まあ、生まれつき外国人でいらっしゃる方のほうが、よほど楽な帰化申請です。