日本人となった後に思いなおして帰化許可の取り消しはできるか

 ここでいう帰化許可の取り消しとは、帰化申請において著しく虚偽があったことが判明したために国から取り消される帰化の取り消しではなく、日本人になった事を後悔して、帰化許可を自分から取り消せるのか、という自発的な取り消しのことです。

 過去には帰化取消などとそのようなことを考える人はほとんどなかったのですが、最近、中国からの帰化者の方が増えるようになってきてから、自分で帰化申請をされた方の中で、後から後悔して、申請支援センターにそのような相談をされる方が見られるようになってきました。(もちろん、既に帰化した方の相談は全て有料です。)

 自分から帰化の取り消しを申し出ることができるかという問いへの答えは、「全くできない。」です。(告示取り消しを除く)
 許可までは帰化申請の取り下げが可能ですが、一旦、帰化許可という行政処分が下されたからには、その取り消しを求める事は困難です。自分自身が希望して、日本国籍を取得したわけですから、当然のことかもしれません。

 また、仮に帰化を取り消してもらったとしても、もとの国籍は既に喪失していることがほとんどなので(相手国の法律によります)、例えば、帰化の際の国籍が中国の人であれば、撤消申請で済む話ではなく、恢复申請を行う必要がでてきますから、 日本に居住しながら領事館で行えるものではありません。つまり、無国籍者となるだけのことです。

 帰化の無効についても、最高裁判例があり、自ら帰化無効を主張しても、認められることはほぼありません。判例の中では、帰化許可という行政処分が行われた限りは、「重大且つ明白な違法」が存在しなければ無効となりえないとしており、さらに、(帰化申請をサポートする立場からは非常に大事なことである)帰化条件の具備について過誤があってさえ、「重大且つ明白な違法」に値しないとしているので、帰化無効は考える余地はないと言っても過言ではないくらいです。

 

参考リンク:
帰化許可・帰化不許可

帰化申請の条件要件

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」