帰化申請は出来るときにしておくタイミングが大事だとつくづく感じます

 今日の夕方、一本の電話がありました。
 出てみると、僕は全然覚えていなかったのですが、2年ほど前に帰化申請相談に来られた方で、その時は決心できなかったので相談料だけ払って帰ったけれど、ようやく心が決まったので依頼したいということでした。

 このようなお電話は、いちど僕に相談しているだけに帰化条件をクリアしている事が殆どなので、僕のボキャブラリが貧困で下品な表現ですが「テッパン」案件ですから営業上、大歓迎でございます。

 ご本人も2年前に「今、申請可能だ」と僕から言われたとおっしゃる。

 でも、現在の状況をお聞きしてみないと電話では受任はできないので、明日土曜午後の相談会の空き時間に来てみたら?と提案しましたが、午後は都合悪いとの事。

 初めての方なら必ず午後しか受けないのですが、まあ、いちど来られてる方なので特別に午前中でもいいかなあと考えました。
 何しろ、「テッパン」案件ですから(笑)。

 で、念のため、前回と暮らしは変わっていませんね、と確かめたところから一気に僕のぬか喜びは落胆へと変わって行きました。

 サラリーマン生活をやめ自営業を始められたばかりということで「えー。サラリーマンなら楽な申請だったのに」と、現状を少しお聞きしました。
 一見さんの場合にはお会いしてでないと絶対に電話で長話はしないのですが、一度お会いしていることもあり、最低限の情報だけ、かいつまんでお聞きしましたところ、残念ですが申請は不可能な状況でした。

 あまり詳細はお伝えできませんが、新しく始められた自営業については一見うまく行っているようではあり、一応は税務申告もされているのですが、やはり手続きに不備もありその不備を補正することもできない状況なので、早くても今後2年程度は申請できない可能性が高いことがわかりました。
 せめて開業する直前にでもお越しになられたら、開業から1年少し経った今、行政書士を通せば何とかなる案件だったかもしれません。

 前に来られた際に申請していれば特に問題も無く、去年にはもう既に日本人になれていたはずなのに、少し決断が遅れたために結果として「無駄な長い年月」帰化ができなくなってしまわれたのです。
 
 さらにもっと残念な事は、何か気になる問題点があって申請の決断が遅れたのでもなく、単に気持ちの整理がつかないという、つまり客観的には何の意味も無い理由で申請を先延ばしにしている間に帰化申請の不許可事由が持ち上がってきたという事です。

 結構そのような事はよくあって、悩んでいる間に重大な交通違反と事故を繰り返してしまったとか、税務署が任意調査や査察に入ったとかいう事は、なぜか多いです。僕と会ったときには何の問題もなかったのに、その後に民事訴訟を起こされてアウトになったという人も複数います。
 ニューカマーの方では、半年前には申請できていて、せっかくこれからの海外渡航の注意点まで教えてあげていたのに、会社から出張を命じられて「仕方ないから」というので長期渡航され、帰化申請が5,6年先延ばしになったという方もいます。会社に出張を断る台詞まで教えてあげていてもこれです。

 真面目で生活が安定していても、ほんのわずかな運命のいたずらで、日本人になるのがずっと遅れてしまいます。

 帰化申請のいちばんの秘訣は、「帰化できるときに、帰化してしまう」。

 それに尽きるのかもしれませんね。