学生帰化申請者の面接への大阪法務局国籍課の配慮

大阪法務局国籍課で帰化申請面接の粋な計らい

大阪法務局国籍課で帰化申請面接の粋な計らい


 今日は帰化申請の面接日についてのお話しです。

 今週、大阪法務局本局で受付がなされた家族全員での帰化申請で、帰化申請者の「一部の家族」だけが「受付の当日」に面接が行われました。

 長く帰化申請をサポートして来た立場から申し上げると、帰化申請受付の当日に面接を行う事は帰化申請の審査システム上あまり好ましい事ではないと考えます。

 なぜなら日本の国民主権を左右する帰化という制度の中で、帰化申請の面接は審査する立場の官庁が誰に何を聞くかについて十分に計画を立てて慎重に聴取する必要があるからです。

 それまでの相談員との事前相談や書類点検の中でのやり取りの中での聴取データがあるとはいえ、受付の当日は、少なくとも大阪法務局本局の審査手続においては職員との正式な初めての出会いの日となるので、もちろん係内での事前の面接計画は立てていることはありえず、どうしても恣意的な取扱いになってしまいがちです。

 本来は、帰化申請の膨大な書類に目を通してから、各帰化申請者ひとりひとりに対して、担当者ひとりでなくチームで会議を行い、申請書類の内容に不自然な部分はなかのか、どんな問題が隠れていないか、と十分に検討を加えてから、本人を呼んで面接を行うべきものです。

 そうでないと、聞くべきことを聞き出せなかったり、聞く必要のない事が繰り返される虐めのような問答になったりと、帰化面接の内容が甘すぎたり厳しすぎたりする
結果となるからです。

 しかし、地方の法務局などに行くと、受付の当日に延々と長い面接が行われた後で受付をして、あらためて面接をしないというような場面に出会ったりして、疑問が湧き上がるのを禁じ得ない事があります。
 まあ、外国人の少ない地域では帰化申請数自体が少ないので割ける予算が僅かな中で人員不足の事情もあるため、大阪等であるような相談員との事前相談に代わるイベントとして仕方ないのかなあと理解しています。

 でも。

 このたびの大阪法務局での受付当日面接は、もうひとつ上を行く配慮がありました。

 帰化申請の受付の当日に面接が行われたのは家族の中で、未成年で学生でさらにアルバイトも行っていない子供達だけでした。

 帰化申請では15歳未満以外の申請者は、本人自身が出頭して申請を行い、また、本人自身が面接を受けなければなりません。
 ところが、学生の帰化申請者が学校を休む事は周囲の同級生の中で目立つ事ですので、とくに心の成長真っ只中の思春期の年代にとって、学校での周囲との人間関係に支障をきたしたり心の傷になることは、「可能であれば」避けてあげて良い事です。

 「可能であれば」というのは、帰化申請条件該当性を正確に審査すべき日本国の国益と、本人の暮らしへの影響を最小限に抑えるべき人道的利益を慎重に比較して、審査にとって問題が無ければという意味です。

 今回は、ご本人が(特別永住者ではありませんでしたが)日本生まれ日本育ちの学生で過去にアルバイトもしたことが無く運転免許もなく、さらに会った瞬間「見るからに」真面目そうな子供達であったので問題無しと判断されたのでしょう、受付の当日に面接を行ってくれました。
 親や大人は数か月後にみっちりと(笑)面接がありますが、このまま申請書類の内容に問題が無ければ、今度すでに面接を受けた子供達の再度の出頭は省略される方向でしょう。
 
 うちも法務局の隣で看板を出して、多数の帰化申請を普段から長年コツコツと真面目にやって来ていますから、もしかしたら「申請支援センターさんからの申請だからまあ問題もないでしょう」との信用もあるかもしれません。ないか(笑)。

 いずれにしても、受付時に子供の面接を済ましてしまうという粋な配慮をできる大阪法務局の人権意識というか、それでも帰化申請を確実に審査できる自信ともいうべき懐の深さを感じた出来事でした。