3条届出や帰化申請で非常に大事な親権については反致がない

 認知による日本国籍の取得つまり3条届出や、帰化申請において、法定代理人が誰であるかが非常に大事な事であることは以前に書きました。

 3条届出や帰化申請において、法定代理人が誰であるかということは、当事者の環境によって変わってくるわけですが、大抵は親権と一致します。

 ところが渉外事件においてまず参照すべき法の適用に関する通則法上で、親権に関する規定には反致はありません。

 行政書士などにはあたりまえの言葉ですが、一般の方の為に申し上げておきますと、反致というのは、渉外事件すなわち国際的な事件において、自国の国際私法がその事件に関する準拠法として指定する法律が他国の法律であるとする際に、その他国の国際私法においてその事件に関する準拠法を自国の法律と指定するときは、自国の法律が最終的な準拠法となることをいいます。

 例えば、日本人女性の日本に居住する婚姻外の子供を韓国男性に認知してもらう際には、非嫡出子の親子関係の成立自体は、まず、日本の法の適用に関する通則法上、子の出生当時の父の本国法、つまり韓国法が指定されますが、一方で、その指定された韓国の渉外法である大韓民国国際私法で、(原則としては)子の出生当時の母の本国法、つまり日本の法律が指定され、結果的に日本の民法上の認知に関する規定により親子関係の成立を判断することになります。
 (ちなみに、3条届出に関する案件では、韓国人女性の婚姻外の子供が日本人男性に認知される場合なので、非嫡出子の親子関係の成立については、子の出生当時の父の本国法はダイレクトに日本の法律となりますから、法の適用に関する通則法上、反致を待たずに、日本国民法により親子関係の成立を判断することになります。)

 しかしながら、親子関係の成立自体には反致が規定されているのですが、法定代理権に直結する「親権」に関しては反致の対象外であると規定されています。

 そのため、例えば、大韓民国国際私法上は準拠法が子の常居所地法となっておりかつ子の常居所地が日本であったとしても、反致はなされず、韓国民法の規定により親権者が決められ、その結果により、「家族関係の登録等に関する法律(日本で言うところの戸籍法)」に従って韓国の家族関係登録簿に記録され、それをもとに3条届出や帰化申請の法定代理人を判断することになります。

 日本人同士のカップル間での子供の認知とは、親権の在り方が、国によって全く異なりますから、3条届出や帰化申請の際には、非常に注意を要することなのです。

 
参考リンク:認知による国籍取得=国籍法3条届出

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