年金の未払い期間が少しあっても帰化申請が受け付けられる時代は終わろうとしているのかも知れない

 直近の年金保険料を支払っていない者は帰化することができません。
 また、厚生年金保険料を支払うべき事業主はいくら国民年金保険料をコツコツ払っていても帰化申請を受け付けてもらえません。

 年金制度は日本社会の将来にとって大事な大事な制度であり日本に住む人は国籍に関係なく「私は外国人だから」とか「いつか本国に帰るかもしれないから」とか自分勝手な都合で支払わないことは許されません。
 年金とか税金は、帰化申請をするとか、帰化申請をしないとかに関わらず、日本で暮らし社会参加していく限りは法律通りに行っていくべきものです。

 帰化申請の条件の中には素行条件というものがあり、日本の法律や倫理、常識を守れていないと帰化申請はできません。

 もちろん、「私は素行条件を満たしている」と胸を張って言えるためには、過去全ての期間において年金保険料を払い続けて居なければならず、それは「極めて、当たり前のこと」で、転職も不就業も繰り返して来た私でさえ20歳以降不払い期間など1か月さえありません。

 しかし、世の中には事情や認識不足(どちらも全く言い訳の余地などありませんが)により、ほんの少しの期間「悪気は無いが」年金保険料を払えていなくて、さらに今から払いようが無い状況の人は現実には存在します。

 ほんの少しの期間で無い人は、「悪気があって」払っていない事は明白ですから、帰化どころかこれ以上日本を蝕まずに出ていって欲しいくらいですが、悪気の無い人については、他の素行がちゃんとできていればなんとか助けて差しあげたいと思える事はよくあります。

 法務大臣の考え方もこれまでは私と同じであったようで、平成24年から帰化申請において年金加入義務が条件に加えられて以来今までは、本当に真面目な方については目をつぶってくれ、ある一定の期間を越えて年金加入を問題にされることがなかったというのが現実でした。

 しかし、今週、とある法務局での帰化申請の面接において、結構昔の年金保険料未払を厳しくチェックされた方がいました。

 帰化申請では、ブラフとそうでないものの見分けと、ちゃんとした担当者かそうでない担当者の見分けが非常に大事なのですが、今回はきちんとした担当者によるガチチェックであることがわかりました。

 見当違いではありましたが、一応は想定の範囲内でもともと対処法を打ち合わせておりましたので、即刻対処を行動に移し、この案件については何とか切り抜ける事ができたようですが予断を許さぬ状況です。

 これまで年金については幾分寛容な部分もあったのは平成24年まではほぼ不問のまま帰化申請が許可になっていたものが平成24年から100%順法であることを求めるのは公平さに欠けるからだったのでしょう。
 まあ、これまでの4年間が「猶予期間」だったのかもしれません。

 ただ、勘違いしている方も多いのですが、平成24年以前も年金について不問であった訳ではありません。直接的な提出書類が無かったので糾弾されることが少なかっただけです。
 ですから、平成24年以前も申請支援センターでは年金に対する細やかなチェックをしていましたし、糾弾された際にどのように対応すべきかというノウハウも確立しています。

 今年秋の年金制度改正に先立って、ついに法務局も年金に本腰を入れ始めたようですが、古い時代のノウハウが生きるとは思いもよらずラッキーでした。