平成24年までに帰化申請しておかれた方は得だったなとつくづく思います

 帰化申請を扱っている行政書士なら「平成24年まで」と聞いてアノ話だなと既にネタバレしている事と思いますが、その通り。
 年金加入の話題です。まあ、24年にはその他もありますが。

 帰化申請において年金加入が凄くやかましく言われるようになったのが、平成24年7月から。

 それまでは年金加入は不要だったと勘違いしている行政書士も沢山いるようですが、そうじゃなくて平成24年の審査の厳格化前も年金について重大な違反があれば帰化申請は頓挫していたのです。
 ただ、当初から要求される書類の中に年金書類は含まれてなかったので、不問というより問われないまま進んで行って許可となる案件も多かったわけです。
 一方で、給与明細等から疑問が発生した場合、改正前も容赦なく年金関係も詮議されていました、

 申請支援センターが依頼を受けた案件の中にも、改正前に細かく突っ込まれた案件がありました。
 もちろん、ブログに詳細は書けませんが、複数の企業を経営するご家族で、年金適用事業所としての義務を間違いなく果たしているかという部分でかなり厳しく突っ込まれました。
 もとよりきっちりと経営されている企業でしたから、当方の助言の通りに社会労務士さんと話し合われ、私が抽出し指摘申し上げたポイントを明確にされ事なきを得て許可となり、皆さん日本人として普通に幸せに暮らしておられます。

 そんな古い話をなぜ今更持ち出したかと申しますと、昨日、そのご家族のご親戚の帰化申請のご依頼を受任したからです。
 それも、またまたリカバリー案件。

 取り下げや不許可ではないのですが、問題が発生して受付を拒否されたまま解決出来ずに前回は頓挫したそうです。それも行政書士に依頼していたのに。
 
 事務所にお越しになられる前に、リカバリーであることはご親戚から聞いており、生計に問題が無いことは予想していましたので、まあ、どんな「悪人」が来るのかと心配していましたが、お会いしてみると、なぜこの人が日本人になられへんねん!と言うほどの何の曇りも無い真面目過ぎるくらいの好人物。
 
 じゃあ、どうして前回頓挫したのかというと、当方に依頼された紹介者の方と同じように改正前の年金関係の法務局の指摘に十分に対応できず前に進まなくなったそうです。
 ちょうど同じ頃に当方からの帰化申請も進めて許可になっており、ほぼ同じ条件、ほぼ同じ問題点で、一方がさっさと許可になり、一方が停滞しているとは何事ぞと、事実上前の行政書士を解任されたとの事。

 僕にとってみたら、まあ前回と同様の対処をしていけば良いようなものなのですが、神さんはなかなか楽はさせてくれません。
 というのも、確かに審査基準改定前から年金の突っ込みはあったものの、やはりそれはそれ、審査基準の改定前は確実に今より緩かった。現在の許可基準にひとつひとつ当てはめて考えるなら、僕が前回と同じ対処をしたとしても、基準に当てはまらない点が幾つも存在します。

 もちろん、行政書士のぼくひとりが躍起になっても上手くいきません。
 ご本人を含め会社に意識も変えてもらわないと行けませんし、本人の向こうにいる社労士の意識も穏便に変えてもらわないと行けません。
 ただ、専門家の意識を動かすのがなかなか骨の折れることで、僕が自分の土俵である帰化申請の仕事に他士業の人から横槍でも入れられようものなら「帰化の事も良くわかってないのに、ほざくな!」と顔真っ赤にして反論するだろうと容易に予想されるのと同じ気持ちだと思います、相手の社労士さんも。さらに、面子やプライドもあるでしょう。
 それらを穏便に解決させようという意識も含め、ご本人にご案内しないといけません。
 でも、今度のご家族皆さんは、一を聞いたら百を知る性格のようなので、そこは安心かなと思っています。

 いずれにしても、僕が前回許可のお手伝いさせていただいていた時期にすんなり許可になっていれば不要だった手間が増えることは確実のようです。

 おまけに前回解任された行政書士が、僕も良く知っている神戸の中堅の方です。
 なかなかやり手の明るいいい人ですよ。
 
 おととい打合せした別のリカバリー案件といい、顔を知っているセンセの後を受任するのは何だか妙な気分ですね。誇らしいと言えば誇らしいのですが、重圧の方が先かな(笑)。
 まあ、リカバリー専門の行政書士事務所たる様相を呈してきた近況ではございます。ああしんど。