帰化申請不許可

 今日は、法務局で帰化申請不許可直後の場面に遭遇しました。

 と申しましても、当方からの帰化申請が不許可となったのではなく、書類点検で大阪法務局本局を訪れた際に、自己申請をされた方が理由を聞きに来られた場面に居合わせただけです。

 大阪法務局では書類点検で待たされる事は最近はあまり無いことなのですが、昼休みということもあって、珍しく待合いで時間をつぶしていました時に、帰化の不許可案件の方は出頭して来られました。
 ひとめでそれとわかりましたのは、配達記録のバーコードが貼られた封筒を持っていらっしゃったからです。

 国籍課の待合に入ってこられてから、どうしたらよいのか、少し迷っていたようです。
 他の案件で来た人なら、おせっかいすぎる性格上、結構いつも声を掛けてあげるのですが、相手の要件が不許可の問い合わせとわかっているもので、「はいはい。不許可の時はここに記入をして。」と教えて差し上げるのも気まずいもので、さすがに私も躊躇しておりましたら、自分で相談票に記入を始められました。後ろ姿から、相談票の正しい場所に記入できていることもわかりました。

 帰化の不許可案件の問い合わせでは、書類点検や帰化受付とは担当が違うので、ほどなく、先に待っていた私よりも先に呼ばれて、中に入って行かれました。

 すぐに私の順番が回ってきたのですが、こちらの要件はほぼ問題の無い申請でもありましたので、書類点検を受けている間じゅう、正直、おのずと不許可のブースの会話に耳が向いてしまいました。

 いくら守秘義務と関係の無い他人の不許可案件とはいえ、詳しい内容は控えますが、職員の話す内容を聞いていると、「虚偽申請による不許可の際の典型的な応答」でした。また、本来なら、一番、問い合わせに来るべき人が来ていないようでした。

 冒頭から、帰化条件の説明をさっとすまし、「帰化申請で最も大事な事は、正直に申請をする事です。」と、私が、行政書士会の帰化申請研修会で講義する際に最初に話し始める話と全く同じ言葉で始まりました。

 そして、何故不許可になったのかという理由は全く教えてもらえず、自分の胸に手を当ててみなさい、と。

 帰化申請が不許可になった場合には、原則、まったく不許可の理由は教えないことになっています。
 インターネットでは、経験の無い行政書士の方が想像で書かれた「不許可理由を教えてくれる」といった表記が散見されますが、嘘っぱちです。

 不許可や取り下げに遭遇した行政書士など、ほとんどいません。
 よほど数をこなしていないと遭遇できないのです。
 わざわざ「許可率100%」を謳っているのは、帰化初心者の看板を挙げているようなものです。

 当方でさえ、取り下げはありますが、不許可はありません。まだ勉強不足ですかねえ(笑)。
 ただ、不許可のリカバリー(再申請)は行っています。
 たいへんですよ。リカバリー案件は。

 虚偽申請による不許可案件の再申請も、駄目元で法務大臣に送ってもらった不許可案件のリカバリーも何度かいたしておりますが、どちらのどのケースでも不許可の際にはきちんと理由は教えてもらっていません。
 ただ、後者の場合には、ヒント程度の言葉は掛けてもらえる事があるようです。

 しかし、虚偽申請による不許可案件については、「一切」教えてもらえません。
 今日の方もそうでした。

 ただ実際には、職員の話を聞いている中で、その虚偽内容も大体想像もつきました。
 
 そして、その虚偽内容は、行政書士に頼んでいれば、絶対にありえないような、これがバレないと考える方がおかしいという幼稚な部分だったようです。

 半分は故意に隠し、半分は結果的に、嘘となってしまったのでしょう。

 自分で申請される方によくある落とし穴です。
 「自分でやってみよう商法」の被害者かも知れません。

 

参考リンク:
帰化許可・帰化不許可

帰化申請の条件要件

帰化面接

帰化申請の方法・流れ

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」