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4月 23 2017

日本酒は横に飲む

帰化許可告示

普段使いの柿右衛門

 中馬弘毅代議士の秘書をつとめさせて頂いて、ひとつだけ人生の奥義のひとつを教わった事があります。

 それが、日本酒は横に飲む、という習慣。
 ”奥義”なので、「一子相伝」というか、よほどの事が無いと、偉い方からめったに教えて貰えることはありません。

 だから、インターネットで調べてもなかなかわかりません。
 
 僕の知見では、若い人で過去に知ってそうな人はミヤネヤの宮根さんくらいですね。
 宮根さんとは「まーったく」面識はないのですが、テレビか何かで日本酒は横に飲むという言葉を発言されていたので、「あ、たぶんこの人知ってるんだ」と感心した覚えがあります。

 帰化申請とは関係ありませんが、先日友人と新しい割烹を開拓していた際に思い出したので少し書きましょう。
 日本酒は横に飲むという言葉の意味は正確には書きませんが、要するに「飲むのではない」という事です。

 ぐい飲みなどで文字通り「ぐいっ!」と、いわば”縦”に飲る、という呑み方は、酔うための酒です。
 日本酒は横に飲む、と言うのは、そうじゃない、という事です。

 僕は中馬代議士に教えられてから、ずっとこの「日本酒は横に飲む」という事を心掛けているのですが、これを遵守するためには本当は杯が必要なのです。ところが、大抵の割烹などでは結構ちゃんとしたところでも杯が置いていなくてぐい飲みが出てくる。さらに僕の好みは高台のもので、もっと個人的な趣味に走るとお正月に昔のどこの日本家庭にもあった安物っぽい鼓杯(うちはこれこそをおちょこと呼んでましたが、昨今の日本世間の言語感覚では、猪口というとぐい飲み型の猪口と言っている気がします)なのですが、このへんの雅致は帰化して日本人になられる方には是非理解してほしいところです。
 新しい店を発見した時、杯が置いていない割烹では、一応、ほんの少しいらん蘊蓄を垂れる嫌なお客です。

 ところで、なぜ「日本酒は横に飲む」と言う事を中馬代議士に教えていただいたかと言うと、僕は秘書の中で最もお酒にだらしないダメダメ秘書だったからです。

 高津、関大と軽音楽部は体育系コンパで肝臓を鍛えられていましたから、そんなに酒に弱い方ではないと思うのですが、気の良い方で進められたお酒をつい受けてしまうのがわざわいしていたからでした。
 
 後援会の方々が自費で企画して下さる旅行会などでは、400人とか800人といった宴会で、普段のお礼のご挨拶で男芸者よろしく宴席のおひとりおひとりにお酒を注いでまわる事が常でした。
 「注ぐ」だけであれば大した仕事ではないのですが、忘れてならないのが「返杯を受ける事になる」と言う事です。

 400人の宴会なら400杯の返杯は覚悟しておかないといけません。
 人によっては男芸者に2杯3杯と重ねる人も、ビールの返杯にビールコップに日本酒を入れてくる人も居ます。

 普段の地元廻りの外の宴会などであればお互いに節度があるのですが、様々な相互の慰労会の意味合いの旅行会などになるとお互いに苦労を乗り切った喜びもあり、男芸者側も感謝の気持ちが極まっていますから、つい延々と返杯を受ける羽目になり、とどのつまりは正体を失くしてしまうわけです。

 そんな際に、代議士から懇懇とお叱りをうけ授かったのが「日本酒は横に飲む」というお言葉です。
 お言葉と言うより、お小言ですね。
 それ以来、冒頭に申し上げた通り、人生の中で守るように心掛けています。
 心掛けていますが、いまだにすぐ調子に乗って、破戒してしまいます。
 そして翌日、「日本酒は横に飲まなきゃな」と思い出すのが、現実でございました。

 つまり、「日本酒は横に飲む」という意味を本当に知っている人は、ほぼ100%、酒で失敗して先達からお小言をいただいた人なのでしょう。
 たくさん失敗して、得たものもほんの少しはあります。
 でも、やはり「日本酒を横に飲む」事を知っていると言う事は自分の恥なので、ブログなどネットに書かれる事も少ないのかもしれません。

 宮根さんもたくさん失敗したのかもしれませんね。
 もしかしたら、私を諫めて下さった ” 師匠 ” も、そうだったのかもしれません。

 だって、「日本酒は横に飲む」って、ご存じだからです。